潔癖症の彼は、キスができるのですか?
「…………」
「…………」
あれ? 私、変なこと言った? 止まった涙を左手で拭いて、耳を押さえたまま大窪くんを見上げると、口に手を当てて、私から視線を外した。
「……ああ~、もう」
「え?」
「かわいすぎる」
「か、かわいくないよ! 泣くと鼻が赤くなって、ブサイクになっちゃうし!」
「そういうずれたことを言うのも、かわいい」
「ずれてる⁉」
どこが、どこで、ずれた? 今までの会話を思い出そうと必死になる私を見て、大窪くんは吹き出した。そした、また私の頬に顔をくっつけた。
「ひゃっ……だから、それやめて」
「少し、我慢して」
うう~。くすぐったいゾクゾクする慣れない感覚に肩をすくめる。少しって、あとどれだけ⁉
「――好きだよ、琴音」