潔癖症の彼は、キスができるのですか?
ま、ありんこのマツゲほど同情はしないけどね。好きだからといって、やっていいことと悪いことがある。ケバマツゲはあまりにもやり過ぎ。変人夏樹にもイヤな目に合わせられたし……。
でも、パソコンもスマホも壊れて、何より大勢の前で告白してフラれた。罰は充分に受けた。だから、私はもう何も仕返しはしない。三度目があったら、完全に許さないけど。
放課後。
久しぶりに本を借りに、大窪くんと図書室に向かった 。
「今日は、手を繋いで帰れるの?」
「うん!!」
そうだ。今日からは堂々と手を繋いで帰れるんだ。なんか今からドキドキしてきた。図書室の机で頬杖をつく大窪くんを見て、ふとマスクに目がいく。
「大窪くん、マスク取って」
「え?」」
「今度は私がリップぬってあげるー」
ポケットから、お気に入りのピンクのリップを取り出すと、大窪くんは目を見開いて、大きく顔を横に振った。