潔癖症の彼は、キスができるのですか?



「……英語の宿題出てたから、取りに戻ろう」

「すみません……」


どうりで今日はカバンが軽く感じたんだ。大窪くん、呆れてる? と、思いきや肩を奮わせて笑いをこらえてる。ムッカ~!!


「笑わないで!!」

「だって……普通、中身忘れる? しかも、図書室で借りた本を入れる時、気づくでしょ」

「どうせ私はバカですよ!!」

「バカじゃないよ。かわいいよ」



――ドキッ。


も、もう!! やっぱり、大窪くんのペースにいつも惑わされるんだ。好きになった人は、頭がよすぎて悔しい。ま、私がおバカすぎるだけだけど。


誰もいなくなったオレンジ色の教室。私はカバンに教科書とノートを入れる。


「そういえば ユウウツってかけるようになった?」

「え?」

「腱鞘炎治ったでしょ」



ま、またバカにして~!!


「もう怒った!! 私のリップぬってやる!!」

「わ、ちょっと!」




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