潔癖症の彼は、キスができるのですか?



「できた」

「ありがとう」


髪を撫でられて、大窪くんの顔全体をじっくりと見る。キレイな肌に切れ長の瞳。そして……。


「フフ。女の子みたい」

「え?」

「ピンク似合ってる~♪」

「…………」


あ、なんかものすごくイヤな顔された。怒っちゃったかな。この後、マスクをしたとしても、マスク自体に色がついちゃうかも。潔癖症の大窪くんにとっては、不快かもしれない。


「ご、ごめん。少し色が濃くついたかな。ハンカチで……」


色をおさえようと言いかけた時。


「キスで取って」

「え?」

「キスして」


一昨日と逆。夏樹にキスされた私は、大窪くんにキスを求めて。今度は大窪くんが私に。




「キスしてよ」




キスを求めてきた。






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