私達の思い出
放課後。私は未だに進路の紙を提出できずにいる。光達はもう帰っていて、教室に残っているのは私だけ。

『はぁ…』

今日、何度目ため息をついた事か…私はオレンジ色に輝く空を見上げる。

ガラッ…

『…孝、汰…?』

「…」

急に教室のドアが開いた。そこには険しい表情をした孝汰が立っていた。

『孝汰、忘れ物?』

「別に。何でもねぇよ…」

『じゃあ、何で教室に来たの?』

「来ちゃ悪ぃかよ…」

孝汰…怒ってる?明らかに不機嫌な孝汰に、私は不安になった。進路の紙そっちのけで、私は孝汰に近付く。

『ねぇ、怒ってるの?』

「怒ってない」

『怒ってる!!』

「怒ってねぇって言ってんだろ!!」

『っ!!』

始めて聞く、孝汰の怒鳴り声。私は思わず、後退りしてしまった。孝汰の顔も、泣きそうに歪む。

「悪ぃ…怖がらせたかった訳じゃねぇんだ…」

『…』

そう言いながら、頭をポンポンする。その優しさに、私の目からは涙が流れた…

「ホラ、泣くな」

『ごめん…っ!!』

一生懸命、制服の袖で涙を拭く。



「お前…まだ進路の紙提出してないのか?」

『うん…』
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