私達の思い出
教室に入ってきたのは、私達の担任・黒崎護先生。多分、この学校にいる男の先生の中で、一番格好良いかも。

「隆一のやつ…また遅刻か」

5つある席の1つがまだ空いている。廊下側に座っている光と目が合い、小さく親指をたてた。

「え〜…今日から高校3年生になった訳だが、春休み前に配った進路の紙をHRが終わったあと、提出してくれ。それと…」

先生の話を右に聞き流して、私は空を見た。空では、2羽の鳶が気持ち良さそうにくるくる飛んでいた。



キーンコーンカーンコーン…

「じゃあ、今日のHRこれで終わりだ」

そう言って、先生が教室から出ていく。それと同時に、後ろのドアから一人の男子が入ってきた。

「隆一!!おっす!!」

「どうも」

声をかけた光に軽く会釈をしながら自分の席に着いたのは、神谷隆一。高校生組の中で唯一の2年生。そして、夕夏ちゃんの彼氏。

「隆、おはよ(笑)」

「うん」

軽く夕夏ちゃんと挨拶を交わして隆一は机に突っ伏した。これで、私達高校生組は全員。

『ねぇ、今年の夏休み、何処行く?』

「気が早いわよ」

「俺、沖縄行きたい!!」
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