私達の思い出
私達5人は、写真部に所属している。部長は私、副部長は夕夏ちゃん。

私達写真部は、夏休みになると毎年旅行に行く。1年生の時は静岡県。2年生の時は長野県。

さて、今年は何処行こうかな。

『夕夏ちゃんは何処行きたい?』

「そうねぇ…北海道なんかいいんじゃない?」

『随分北だね…』

北海道と言えば、札幌時計台が有名だ。あと…羊ヶ丘。あそこにはクラーク博士の銅像が建てられているから、一度は行ってみたいけど…

『…』

ふと、孝汰を見る。孝汰は相変わらず机に突っ伏していた。

「孝汰が気になる?」

『あ、いや、別に…』

「まだ夏までに時間があるから、ゆっくり考えていいわよ」

『うん…ありがとう、夕夏ちゃん』

夕夏ちゃんの心遣いに、深く感謝した。

孝汰は、この島の住民じゃない。5歳の頃、この島にやってきたんだ。私達が住む島は、東西に伸びていてそれぞれに集落がある。

孝汰は、東の集落にやってきた男の子。島唯一の駐在所の男の人に預けられ、今もそこで暮らしている。

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