私達の思い出
私が小学1年生の時、孝汰はこの学校に転入してきた。島の子達にはない独特な雰囲気に、私は見惚れてしまった。

唯一、分かったのは…出身が北海道だと言う事。それ以外は話してくれなかった。両親の事も…でも、私は孝汰と仲良くなりたかった。ただ、それだけー…

じっと孝汰を見つめていると、目が合った。

「…何」

『ううん、何でもない』

「…」

口数が少ない孝汰だけど、私は知ってるよ。孝汰は…本当は寂しがり屋で、泣き虫な男の子だって。



キーンコーンカーンコーン…

今日の授業が終わり、帰る支度をする。教室が淡いオレンジ色に染まっていた。

「千尋、帰ろうぜ!!」

もう支度し終わったのか、光が話しかけてきた。

『先生に呼び出されてるから、先帰ってて!!』

「…分かった」

夕夏ちゃんと隆一に声を掛けて、急いで教室を出る。職員室は下駄箱の隣で、教室からはちょっと遠いのだ。

ガラッ

『失礼します!!』

職員室に入ると、小学生組担任・荒井宣仁(あらいのぶひと)先生、中学生組担任・佐久間渡(さくまわたる)先生がいた。

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