私達の思い出
先生はふんわりと笑って、私の頭をポンポンとした。

「来週までに出せるか?」

『はい』

「そうか(笑)よし、帰っていいぞ」

『失礼しました』

先生に頭を下げて、保健室を出る。そこには孝汰が壁に寄り掛かり、腕を組んで立っていた。

『待っててくれたの?』

「まぁな。行くぞ」

壁から離れて、歩いていく。嬉しくなって、私も孝汰のあとを追った。

「千尋、この後空いてる?」

『うん。空いてるけど…どうしたの?』

「海…行かないか?」

『えっ?』

孝汰の言葉に、私はビックリした。いつもはこんな事言わないのに…

『うん、行く!!』

「そうか」

無表情だけど、嬉しそう。私も笑う。

「…何だよ」

『べっつにー!!』

「…変な奴」

こんな時間が、堪らなく愛しい。孝汰と2人、並んで歩く。



『…綺麗』

「そうだな」

海に2人並んで座る。海が夕日でオレンジ色にキラキラ輝いていた。

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