ライオンさんのペット
昨日の電話では元気そうだったのに。

律子の事を考えながら、本校舎へ続く長い渡り廊下を歩いていると…


「柴田さん。」


不意に後ろから呼び止められた。

振り向けば、眼鏡を掛けた女性が、こちらに近づいてくるのが見えた。

学年主任の中園先生だ。



「柴田さん、昨日高獅路さんの代理の方から連絡がありました。
大変でしたね…」


「…はい」


私はただ返事しか出来なかった。


「事情は聞きました。
それで、柴田さんの次のクラスですが、学院長から特Aクラスへの推薦がありましたよ。」


「えっ?どうしてですか?」


特Aクラスとは試験の上位者達が集まる組の別名だ。
事情を聞いて、なんでそうなるの?



あっ…そうか…



思わず反射的にどうしてかと聞いてしまったが、直ぐに1つの答えが浮かんだ。


この時になって、私は特Aクラスに入るための条件を思い出した。



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