ライオンさんのペット
「あらあら、もうこんな時間ね。」



私に教室に行くように促すと、中園先生は足早に行ってしまった。



「私が…特Aクラス…」



また皆と同じクラスになれるかもと思っていたけど、そんな淡い期待も消えてしまった…



なんだか…胸の辺りに何かがつかえるような重みに…


『瑠唯様の格好や品位・行動は和雅様の評価にも繋がります。』


藍沢さんの言葉が響く…




胸の痛みを押さえるように、私は制服をきゅっと握った。




両親が路頭に迷わなかっただけでも有り難いことだし、試験の点によっては、皆とクラスがバラバラになっていたってこともあるし…


だけど、思わずにはいられない…



皆とまた一緒のクラスになりたかったな…



それが今の私にとって、どれ程贅沢なことを言っているのか分かっているだけに、心のもやもやが灰のように積もっていく。


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