ライオンさんのペット
「瑠唯、急げ!」


後ろから声がしたかと思うと、立ち尽くす私の手を走って来た新が掴んで、そのまま強引に連れて行く。


「ちょ、新!?」


「ちんたら歩ってたら試験始まるぞ!」


「あっ、うん…」




そうだ、今は試験に集中しよう。


どんなに考えたって、私は…


従うしか、ないんだから。




私は藍沢さんの言葉を振り払うように、新と全力で校内を走った。











試験は国語、数学、英語、理解(生物+化学+物理)、社会(日本史+世界史)の順で全部で5科目行われる。


始めの国語の試験には間に合ったが、新と律子にさっき合ったことを話す余裕もなく、そのまま試験が始まった。


でも余計な事を言わなくて、良かったのかもしれない。


試験と試験の間の休憩時に話すことも出来るけど、このことは放課後まで黙っておこう。


二人に余計なことを考えさせて、試験の集中を欠きたくない。

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