ライオンさんのペット
「瑠唯様!?瑠唯様‼」


もたれるドアから、ドンドンと叩く振動が伝わる。


私はそれを無視し封筒に視線を落とした。



『綾部 敏雄』



差出人を確認し封筒を裏返す。



やっぱり…



そこには速達のスタンプ印の下に、『柴田 瑠唯 様』と書かれていた。


封筒を開けると中には手紙が二通入っている。


一つは綾部さんから。もう一つは…






お母さんからのものだった。






私は始めに、綾部さんの手紙を読んだ。






『瑠唯ちゃんへ
敬子さんから手紙を預りました。
本来は、直接渡す約束だったのですがーーー』



手紙の続きには、会社が倒産したあの日、手紙を渡しに家に行ったこと、でも家は既に無く、暫く待ったが私が帰ってこなかったのでやむ無く帰ったこと、その帰りに倒れ入院することになったこと、そして綾部さんの"知人"が住所を調べ、変わりに手紙を送ってくれたことが書かれていた。



『今は大変だと思うけど、いつかまたお父さんとお母さんと暮らせる日がきっとくるからね。
体に気をつけて。』


綾部さんの手紙は、そう締め括られていた。

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