ライオンさんのペット
勤めていた会社が倒産して、綾部さん自身大変な時なのに…
私にまで気を使ってくれて…


その優しさに胸が苦しくなった。


この胸の苦しさは、きっとお母さんの手紙を読んだらもっと酷くなる予感がする。

けれど、読まない選択肢はないし、内容が気になって仕方がない私は、お母さんからの手紙を迷うことなく開いた。



開けて直ぐ、「時間のない中書いてくれたんだろう。」と思った。


お母さんはとても綺麗な字を書くのだけれど、この手紙に記された字はいつものお母さんの字じゃなかった。

殴り書きのような、字が流れているような、そんな字だった。



『瑠唯へ

瑠唯がこの手紙を読んでいる頃には私達は海外だと思う。
もう高獅路さんから聞いたでしょうけど、会社が倒産したの。
とても驚いたでしょうね。』


本当驚いたよ。家も無くなってるし…


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