ライオンさんのペット
『でも、これからのことは何も心配することはないわ。
すべて高獅路さんが面倒を見てくれることになっているから。
学校も変えることはないと仰ってくれて、瑠唯のことを一番に考えてくれる優しい方よ。
暫くは瑠唯と連絡が取れなくて寂しい思いをさせてしまうと思う。
でも瑠唯には学校に律子ちゃん達がいるし、高獅路さんも側にいてくれるからお母さん達は安心して海外に行けるわ。』





目に涙が滲む。


側に律子達がいても、やっぱりお父さんとお母さんがいないと寂しいよ…




『まあ、大学に行ったら一人暮らしする予定だったんだから、少し早い実家卒業だと思って楽しみなさい。』




お母さん…相変わらずポジティブ…
お母さんのこういうところに少し救われる…


自ずと笑みが溢れて、目の縁に溜まる涙を拭った。



『いずれまた一緒に暮らせる日が来るわ。そのためにお父さんと一緒に頑張って働くね。勿論、海外生活を楽しみつつね。
だから、瑠唯はお母さん達のことは気にせず、高校生活を大いに楽しみなさい。
悔いのない学院生活を。

お母さんより』





「お母さん…」


やっぱり、胸は苦しさを増した。


手紙を胸に抱き、堪えていた涙が溢れ出る。

< 120 / 132 >

この作品をシェア

pagetop