ライオンさんのペット
和雅さん!


口を塞がれていて声にならない声がもれる。


私を拘束する男に、他の二人が次々に焦りの言葉を漏らせば、私の浮いていた足が地面へと戻された。


「今回は諦めます。ですが、」


若い男が呟やいたその言葉は、突然吹いた強風に流されかき消されてしまい、何と言ったのか分からなかった。


だけど、今の私にはそんなこと気にする余裕なんてなかった。


ただ、怖い。それだけだった。



そして、三人の男達は私をその場に残し走り去っていった。


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