ライオンさんのペット
和雅さん、どう思うかな?

気に入ってくれるかな?

気に入らなかったら何回でもやり直しさせられそうだな…







「お待たせしました。」



今のこの姿を見せたいような、見せたくないような、複雑な気持ちで和雅さんの背中に声を掛ければ…






「悪くない。」






言葉とは裏腹に、振り向いた和雅さんの顔には満足気に満面の笑みが浮かんでいた。





どうやらご主人様はお気に召したようだ。

ご主人様も満足したようだし、今度こそこれで帰れる。











と思ったのは浅はかだった…











次に連れてこられたところは…



高獅路邸ではなく、これまたお洒落な見るからに高級なイタリアンレストランだった。



和雅さんはここの常連なのか、店の奥から出てきた壮年の男性に案内され、この店の売りであるガーデンが良く見える個室に案内された。



大きな一枚ガラスを嵌め込んだ丸い窓からは、色とりどりの花とその間を流れる小川が見る人の目を楽しませてくれているのだが…


今はそちらに気を止める余裕さえなかったりする…


昨日は色んなことがあり過ぎて二人きりでご飯を食べても緊張しなかったけど、今日は二人きりということに凄く緊張してしまう。

服を選んでいる時の緊張とは比ではないほどに…




何を話したらいいんだろう…
寧ろ話さない方がいいのかな?
静かに食べたいタイプ?
でもそうなら一緒にご飯食べないよね?
でも、親権者としての義務として一緒に食べてるなら別か…



「瑠唯。」


「は、はい!」




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