ライオンさんのペット
目尻に溜まった涙を拭うと、出来るだけ心配させないように説明した。


借金のことや住んでいた家のことは簡単に、両親が海外に行ったこと、" 両親の知り合い" に引き取られたことを。


ざっくりと説明したが、勿論ペットのことは秘密だ。



















「うん、そういうことで今は高獅路さんの家にお世話になってるんだ。
皆、優しくしてくれて…うんうん、だから心配しないで。
詳しくは明日話すけど…えっ?あっ、うん。新には明日…」



「誰と話している。」



「きゃっ!」


後ろから声を掛けられ飛び上がりそうなくらい驚いた。


この部屋にいるのは私だけだと思っていたのだから尚更だ。


振り返ると腕を組んで明らかに不機嫌な和雅さんがドアの所に立っていた。



スーツからラフな黒の部屋着に着替えているところを察するに、お風呂上がりのようだ。
先程まで後ろにきっちり流されていた髪も元に戻り、長い前髪から覗く目が…なんだか怖い…




「ごめん切るね。じゃあまた明日。」




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