【BL】神は誰も救わない
カミサマ
「もういいんだ。」
彼が口にした言葉。
「そんなこと言わないで……お願いだから」
その言葉は聞きたくない。
「お願いだから生きたいと願って。」
ベッドに横たわる彼の手を握り締め、僕は縋るように懇願した。
「もういいんだ。俺はね、充分すぎるほど生きた。」
「そんなこと――」
「死ぬ前に君と出会えた。神様からの最後の贈り物かな?」
彼は笑って僕の頬を撫でた。
その手は予想以上に力なく、僕は動揺した。
幼い頃から彼は病気がちだったらしい。
それでも僕と出会った頃は、少なくとも今よりは元気だった。
頬を撫でている手はキャンパスに芸術を描くものだった。