【BL】神は誰も救わない
困った顔をして涙を拭ってくれる彼が、愛しくて憎らしい。
「好き……好きなんだ。こんなにも好きなのに」
「うん。ありがとう。その言葉、今は俺が受け取るよ。でもね、」
「………」
「俺が居なくなったら、それはもう俺への言葉じゃない。」
ああ、なんて……
残酷なことを言うんだろう。
「君が将来出会う、未来の恋人への言葉だ。」
「そんなのいない。僕にはアナタだけだ。」
「ダメだ。俺に捕らわれないで。君はまだ若いんだから。きっと君を大切にしてくれる人が現れるさ。」
そんな人はいらないんだ。
僕はアナタさえ居てくれればいいのに。
分かってるくせに……。
「君には幸せになってもらいたいんだ。」
「そんな顔して言われても、説得力ないよ。」