【BL】神は誰も救わない
目を丸くした彼に僕は口付けた。
「そんな泣きそうな顔で言われても」
「………参ったね。もう覚悟は出来ていたんだけど。」
「アナタが………本当にそう願うなら、僕はアナタの分まで幸せになるよ。」
「うん。」
この屈託なく笑う顔が好きだ。
こうすると実年齢より若く見える。
「でも今はまだ、僕はアナタのものだ。アナタのものでいさせて。」
彼は瞠目してから、優しく笑い、両手を広げた。
「おいで。」
言われて彼の胸に抱かれる。
どうかこの人を奪わないで。
他には何もいらないから。
この温もりを永遠に感じさせて。
最初で最後のお願いだから。
――ねぇ、神様………
聞こえていますか?
【END】