True End
中学2年の夏
茹だるような暑さに、生徒だけでなく教師すら気が滅入ってしまっていた頃、真緒はうちのクラスに転入してきた。
「さぁーお前ら席につけー
転校生だ。紹介するぞ。」
教室のドアが開き、人口密度の高い教室内に比べて幾分涼しい廊下から、生ぬるい風が吹き込んでくる。
廊下側1番後ろの席に座っていた私は、見慣れた教室に見慣れない生徒が入ってくる光景に、目を奪われていた。
いや、正確に言えば
真緒でなければこんなにも興味をひかれることはなかっただろう。
なぜなら、入ってきた真緒は明らかに異彩を放っていたのである。
「可愛い……」
本当に素直にそう思った。
同じ女の子としては憧れを抱くほどだった。
しかし、誰もが私と同じ感想を抱いたわけではなかったようだった。