真面目くんがネクタイを緩めるとき
「だから、簡潔に言うと
もう既に堕ちてるんですよ
胡桃さん、あなたにね?」
相変わらず梶の表情は分からない。
ふざけて言っているわけではないけど、
本心で言っているのかだって読めない。
だから私には
「嘘だ……」
としか言えなかった。
「嘘じゃないですよ」
私の言葉にそうやってかえす梶。
だって、だって私、
「梶の過去の事聞いたからっ
嫌われたのかと思って……」
何故だかまだ、涙は止まらなかった。