真面目くんがネクタイを緩めるとき
という大好きな彼の声が聞こえた。
振り向くと私服姿の梶がいて
「制服じゃない……!」
なんて意味の分からない事を呟いていた。
「当たり前でしょう?
でも紐ならありますからね。
ネクタイの代わりにはなりますよ?」
なんて冗談を言って
「行きましょうか」
と言ってすんなり手を繋ぐ。
私の意識はずっと繋がれた手に集中していた。
「どこ行くの?」
しばらく歩いているけれど着いていくだけの私は
目的地がサッパリ分からない。