真面目くんがネクタイを緩めるとき


そして、

すっ、と私の体のラインをなぞる

ゾクっ

嫌だ。嫌だ。嫌だ。
怖いって。

「いつもの梶に戻ってよ……」

私が泣きそうになりながらそう言うと


「俺だって余裕ねぇーんだよ!」


梶は動きを止めてそう言った。

「傷つけたって分かってても

自分が悪いって分かってても

どうやって話せばいいか分かんねーし

避けられるし、

そしたら胡桃さん男といるし

どうすりゃいいか分かんねぇよ……。

いっつも、胡桃さんのことに関しては


僕だって余裕が無いんです」


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