真面目くんがネクタイを緩めるとき
空気を体内に取り入れる瞬間もなく
引き戻されたのに、
何度も何度も角度を変えてキスを落とす梶
「な……が、ってば!」
自分の今ある力を振り絞って押し返すと
梶はやっと離れてくれた。
「あまりに胡桃さんが可愛いくて。」
なんて、言うから
しょうがない、許してあげよう。
ってまた、思っちゃうんだけど。
まぁ、怒ってたのは梶の方なんだけどね。
「胡桃さん、もう離しませんからね」
そう笑って言う梶に
疑いなんてもつはずがなかった。
後に、あんな事があるなんて想像もしていなかった。