真面目くんがネクタイを緩めるとき


「けほけほっ……」


梶が唇を離した瞬間、大量の空気が体内流れ込み

むせた。


私が咳き込む様子を見て梶は我にかえったみたいに


「すいません……。」

と言い、ネクタイの紐を外してから私の背中をさすった。


「どうして、教えてくれないの……?」


私がそう言うと梶は柔く笑い


目線を反らして言った。


「正直、不安でまだ自信が無いんです。


胡桃さんにはしっかり固まってから答えを出したいんです


フラフラしてる自分を見せたくないですから。」


「そっか……」


私は一般受験を考えてない分

梶の事、支えたいって思ったけれど、


やっぱり経験してないと分かりあえないこともたくさんある訳で


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