真面目くんがネクタイを緩めるとき


私が伝えた感情をそれ以上に返してくる。

昔、大嫌いだった

愛してると言う言葉が


今こんなにも自分の心に響いて


涙を流させるなんて

きっと前の私は考えもしない。


「泣かないって言ったクセに」

くすりと笑いながら言うけれど、

「泣かせたのは誰よ……っ、」


しゅる、っしゅる。

梶はポケットからネクタイを取り出すと

私に付けて言った。

「真面目くんは学年1モテる遊び女に堕ちるのか。」

え?

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