真面目くんがネクタイを緩めるとき



「違うだろ。」

そう言った。


どきっん…。

その時、心臓がはっきりと脈を打った


梶は私から目を離さない。


何、それ。見ないでよ。

緊張?驚き?
よく分からないけど言葉が出ない

梶の目に吸いこまれそうになる。


「言った方がいいんじゃないですか?」

それは真剣な表情で優しい口調だった。


誰があんたなんかに言うもんか。
今まで誰にも本音なんか言わなかった

絶対自分の事は教えたくない

特に、あんたには。


なのに、それなのに

< 55 / 343 >

この作品をシェア

pagetop