恋音!
――南がチャリをこいでくれたおかげで、遅刻は免れた。
素直に、感謝。
「ふうり、また宮内に乗せてもらったの?」
真理が、ケータイをいじりながらたずねた
「あ、うん。」
「ほんっと、良い幼なじみね。ほら、また女子に妬かれちゃうわよ?」
周りを見ると、何人かの女子がわざとらしくこっちを見て、不満そうにしている。
…はぁ、南は顔はイケメンだし、性格は優しいし。とにかく、モテる。
ここまでモテると、幼なじみの私にとっては、大変だ。
「…まぁ、今頃、南も男子に妬かれてるだろうし、お互い様かな、」
「え?なんで、南が妬かれるの?」
頭にはてなを浮かべる私に、真理はため息。
「無自覚って怖いわ~。」
「え?」
なんでもない、って にやにやしながら、真理は席に戻っていった。