止まない雨はない
「訳を教えてくれる?」



『訳は…言えません。でも』


「じゃあ、そんなの聞けないよ。
 俺は本気でゆりちゃんが必要なんだから…」


『恭哉さん…そんな風に言ってくれるなんて…私…』


涙が勝手にあふれてきた…


「ゆっくりでいいんだ。

 俺…望月恭哉っていう人間を見てほしい。

 今までの俺じゃなくて…

 ゆりちゃんと出会ってからの俺を見てほしい。」



『・・・でも。恭哉さんに今は言えないことがあります。
 そんなんでもいいんでしょうか?』



「ゆりちゃん。
 今は・・・なんでしょ。

 これから俺の事を信用して、話してもいいと思えるまで待つよ。

 俺自身…浩介に聞けば分かると思うけど、ゆりちゃんと一緒だよ。

 俺も前進したって感じかな… 」




恭哉さんの言葉は…傘のようだった。


私の心の中でふっている雨をよけるための・・・
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