止まない雨はない
当たり前の事だ。

血縁・婚姻関係も何もない俺に、詳しいことを話すことはできない。


分かっているのに…分かっているのに…
俺は悔しくて、彼女の何も分かってあげられあないことに再び唇をかみしめるしかなかった。


ほどなくして浩介はかおりを連れてやってきた。


賢吾に声をかけ、浩介が兄だと説明すると、浩介だけ呼ばれた。
かおりも一緒にと浩介が言ったが、かおりは首を横に振っていた。


俺の隣にかおりが座り、俺の顔をみた瞬間…かおりは俺の顔をたたいた。


「何があったか知らない。浩介も混乱していたから、良く分からなかったし。
でも恭哉がそんな顔していたら、気がついたときゆうちゃんが悲しむ…
恭哉、あんた弁護士でしょ。家族以外が聞けない事くらい分かるよね。

みっともない。それくらいでウジウジするんじゃないよ。
そんなにくやしいんなら、早く家族になれるように頑張りなさい。
あんたの今の状態はおもちゃを取り上げられた子供と同じ。」


かおりは、そう啖呵を切ると、すぐに俺の顔をなでた。


「このごろ、恭哉をたたいてばかりいる気がするわ…」


そういって笑っていた…
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