止まない雨はない
目が覚めると、白い天井が目に入ってきた。

目をこすろうと思い手を上げようとしたら、重さを感じた。

その重さがあるほうに目を向けると恭哉さんが私の手を握っていた。

恭哉さんが傍にいるだけで、こんなに安心するのはなんでだろう…



「ゆりちゃん…目が覚めた?
 気分は?
 なんか飲む?」


私は恭哉さんにポンポンと言葉をかけられて、言葉が出なかった。
そんな私に気がついたのか…


「ごめん。色々言い過ぎた。
 まずは、気分は?」


『だいじょうぶ…ここは……病院だよね』


「うん。待ち合わせに遅れてごめん。」


恭哉さんは本当に悲しそうな眼をしていた。



『恭哉さんのせいじゃないの。ごめんなさい…』
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