止まない雨はない
恭哉さんが悪いわけじゃない…
暗い所にいたわけじゃないし、カフェで待ち合わせていたのに…


きっと、これくらいの事で気を失った私に恭哉さんは呆れているよね。きっと…
もう、これであえなくなるのかも知れないと思うと、涙があふれてきた。


「ゆりちゃん…どっか痛むの?
 今、医者を呼ぶから。」


恭哉さんは私の手を離して、廊下に出て先生を呼んでくれようとしている。
いつも冷静な彼の焦っている姿が何だか…私の心を満たしてくれるような気がした。


『恭哉さん。どこも痛くないです
 それに、先生呼ぶならこのボタン…』


私は恭哉さんに見えるように枕元にあったオレンジ色のボタンをみせた



――――ナースコール―――――



「あっ。そうだよね。ごめん。
俺、焦っちゃって…」



恭哉さんはそう言ってボタンを押して、そしてまた私の手を握ってくれた。

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