止まない雨はない
そんなことを思っていたら、目の前の女は店員から花を受け取るとすぐに店を後にした。


今思えば、すぐにおいかけて謝罪をすべきだったのに…
体を動かすことができなかった。


そんな俺に、店員は「どんなものをご希望ですか?」
と問いかけた。
俺はまた、「ユリ」と答えた。


店員から数点見せられたが、見ているようで見てなかった。
俺の頭の中はさっきの女で頭がいっぱいになっていたからだ。



「じゃあ、それを…
 あとさ、さっきいた女性はいつも来るのか?」


俺は店員にそんな事を訪ねていた。


「先ほど…ああ、先ほどのアレンジのお客様は初めての方だと思います。
 私これでも記憶力いいほうですけど、記憶ありませんから…」


そう言われて、俺は残念に思った。
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