止まない雨はない
俺の事務所からその会社までは目と鼻の先。
まったく近いからいいようなものの…


俺はそんなことを考えながら、会社の前にたどりついた。


俺が自動ドアから入ろうとしたとき、扉が開き、女性が出てきた、
それと同時に強い風が俺の体を押した。
まあ、男の俺が倒れるほどではないが…


ただ、扉から出てきた女性はふらふらとしてまさに倒れそうな感じだった。
目を閉じで、きっと衝撃に耐える準備をしているのだろう…


とっさに俺は女性を抱き込んだ。
特にやましい感情はない。
目の前で倒れそうな人がいたら、誰もが助けるだろう…


女性は数秒動くことも、言葉を発することもなく俺の腕のなかで静かにしていた。

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