止まない雨はない
そして、少し経つと…女性が言葉を発した。


『いや…触らないで…』



俺の胸を強く押し、二人の間に空間ができた。
俺は何か誤解を生んでいると思い…


「ごめん…そんなつもりじゃなくて。君が倒れそうだったから。」


女性にそう告げた。


女性は何かに脅えるように体を小さく震わせていた。
何もしていないのに…

今まで女性から拒否された経験のない俺としては逆にびっくりだ。
少しすると、女性は顔をあげた。


その顔には見覚えがあった…

あの時の…ユリ。
もう会うことがないと思っていたのに…
いや、花屋の後にあの駐車場であっている。
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