止まない雨はない
あの日から俺の頭の片隅には何となくゆりがいる。


俺は家庭とか女とか、期待も何もない。
俺の親父は仕事人間で、兄貴と俺が生まれてからさらに仕事にのめりこんでいった。


お袋は自分が相手にされていないことが気に入らなかったのか…
自宅にあった金を持てるだけ持ち、男と駆け落ちをした。


数年後、お袋がなくなったとの連絡が入った。
それは俺が学生時代の話しだ。


それから、俺は女に執着も期待もしなくなった。


俺から求めることは一切なかったが、ありがたいことにこの容姿のおかげで女に不自由したことはない。
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