止まない雨はない
アレンジを抱えて、かおりちゃんの待つお店に急いだ。

お店のドアを開けるとかおりちゃんはすでに来ていた。
本当に美人さんで、周りの人がちらちらと見ていた。

かおりちゃんは私を見つけると、手を振って

「ゆうちゃん。こっちよ」

と声をかけてくれた。

『遅くなってごめんね』

「遅くないよ。約束の時間の10分前。
 遅くなったって謝らない浩介とはずいぶんな違いよ…」

そう言ってくれる本当に楽しくて優しい人。

『あの…お誕生日おめでとう。
 これ、かおりちゃんに似合うかなって思って』

私は、アレンジとともに小さな箱を渡した。
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