その羽で、
「俺は誰も殴りたくねぇ。例え相手が悪かろうが、俺のこの『力』で人を殺せちまうかもしれねぇんだ。

俺は二度と、こんな『力』使わねぇって決めたんだよ」


「こんな『力』、ねぇ……」



ふむ、と顎に手を添えて考えこむフリをするユウ。しかし羽須美には疑問点が幾つかあった。



「えっと、ユウ。お前さっき言ったよな。『人間と関わりを持った以上』って。それってまるで……」


「あぁ、俺人間じゃねぇし。ん?元人間ではあるがな。今はもう腐りきったよ」


「腐り……?」



疑問符を頭上に浮かべる羽須美にたいし、軽くハハッと笑ったユウは、懐から銀鋏を取り出した。



「見てみらった方が早いかもな」


「は?どーゆう意………」



ーぐじゅり



「?!」



肉をえぐる音がした。

そして一瞬にして立ち込める腐敗臭。つい吐き気が込み上げるほど強烈だ。

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