その羽で、
つと、足音が聞こえてきた。


ザリ、ザリ…砂利を踏みしめる音らしく、どうやら羽須美の方へ向かっているようだ。


いつもなら気づくはずの足音。されど羽須美は気づけなかった。苦悩が彼を、支配していたから。


故に、



「よぅ、アルバイトの兄ちゃん。今俺らムシャクシャしてんだわ」


「ちっとボコられてくんねェー?」


「……。」



回避できる危機も避けられなかったと
いうワケだ。

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