その羽で、
優しい人が強いのよって、どこかの誰かが言っていたけれども。

臆病と優しさって、やっぱり違う。



「げほッ………っぅ、」


「あぁー……アルバイトの兄ちゃんありがと。"また"相手してな」


「………。」


「うっはコイツ死んだんじゃねえ?ウケるんですけど!まじ弱ぇし」


「おら、邪魔なんだよ」



ぎゃはぎゃはと笑う集団に蹴られ、フェンスにがしゃんと打ち付けられる羽須美の体。


体はボロボロ。されど彼は強いのだ。



「………最悪。まだアルバイト残ってるっつーのによ…」



こちらに背を向けて声が届かない範囲までぎゃはぎゃは集団が行ったところで、羽須美はポツリと呟いた。

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