...Melting Love...―愛檻―
“なんで”
そう聞き返そうと思ってやめた。
多分、二楷堂は絶対に答える気はないって分かったから。
嘘は言わないっていうのは、きっと本当だ。
その代わり、都合の悪い事は答えないって考えなんだと理解する。
「私に、他の男じゃ満たせない、みたいな事言ってたけど……。
アレって、二楷堂が特別強い精気を持ってるからって事?」
「そう。
それに、亜姫は気付いてないかもしれないけど、亜姫自身の求め方が違うんだ。
吸収しようとしている時とそうじゃない時、受け入れられる量は違うって事」
「……二楷堂相手の時だけ、私は吸収しようとしてるって事?
それってなんか……納得できない」
心当たりがないわけじゃないけど……。
でも、他の人との経験がないからかもしれないし。
なんとなく無意識のうちに二楷堂に惹かれているみたいに思えて、恥ずかしくて不貞腐れると、二楷堂が笑う。