...Melting Love...―愛檻―
『亜姫が付き合ってくれるって言うまで諦めないよ、俺。
だから、それまでは勝手に周りうろちょろさせてもらうから』
『そんなの困るんだけど。それと、勝手に名前で呼ぶのやめて。
大学で変な噂が立つでしょ』
『別に立ってもいいんじゃない? 噂されるうちに亜姫がその気になるかもしれないし』
『悪いけど、本当にそんな気ないから。他の子……』
『ああ、そうだ。
フェアじゃないと思うから、一応言っておくけど』
私の言葉を遮った二楷堂が、高い身長で私を見下ろして微笑む。
そして。
『俺、知ってるんだ。
――亜姫の秘密』
ちょっとシャレにならない脅し文句を、笑顔で言い切った。