...Melting Love...―愛檻―



「別にあそこまでする事なかったのに」

購買で買ったパンを食べながら言うと、隣に座る二楷堂が私を見た。

天気もいいし中庭で食べよう、なんて言う二楷堂の提案に頷くんじゃなかった。
中庭って言えば、昼休みじゃなくても生徒が集まってくる場所。

昼休みの今、そこら中でお昼を食べてる生徒やしゃべり込んでる生徒がいるのに……。

そんな中、女子の視線どころか男子の視線まで集める二楷堂とパンを食べるとか、羞恥プレイに近い。

「あんなの自分でどうにでもできるし、二楷堂が嫌われるような事する必要ない」
「ああ、ごめん。嫌な思いさせた?」
「嫌な思いしたのは、私じゃなくて二楷堂でしょ」

視線が痛い。
見られる事には慣れてるけど、二楷堂がいるだけでいつもの5倍は視線を感じる。

そんな中じゃ食欲も落ちちゃって、せっかく買ったメロンパンを半分食べたところで膝に置いた。



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