...Melting Love...―愛檻―
◇伝えない覚悟
「亜姫、これからはなるべく一緒に行動しよう」
午後の講義を終えて校舎を出た時、二楷堂がそんな事を言い出した。
「……今までだってほとんど一緒にいたと思うけど。
二楷堂が声をかけてきた半年前から、ずっとくっついてきてたでしょ」
何を今さら。
そんな気持ちで隣を見ると、二楷堂は意外にも真剣な顔をしていた。
「俺がいつも一緒にいることで、周りの男が亜姫を諦めてくれれば、と思ってたけど……今日みたいな事もあるから」
「あれくらい私一人でも対応できるって言ったと思うけど」
「でも、対応できない事もあるかもしれないって用心するに越した事はない。
それに、最近は凶暴なヴァンパイアも増えてきてる」
「え……」
驚いて、思わず立ち止まる。
それに気付いた二楷堂も、一歩先で止まって私と向き合った。