...Melting Love...―愛檻―
「大切に育ててくれたのに……お母さんがどんな人か、私が一番分かってたのに……。
いつの間にか、お母さんは本当に人間を襲ったのかもしれないって疑う気持ちが生まれてた。
そんな、弱い自分に気付いたから……それで」
お母さんの事も……自分自身の事でさえ信じられないくらいに弱かった。
だから、ひとりでいるしかなかったんだ。
「自分は人間を襲ったりしないって自信があれば、友達だって恋人だって作ってた。
できるなら……そうしたかった。
でも……怖くて……」
自分が誰かに襲いかかるのが、怖かったから。
最初は、協会に言われたって、そんなわけないって思ってた。
だけど……成長するにつれて、色々な事が見えてきて。
吸血願望がどれくらい強くて浅ましいモノかを実感した。
自分の身体。人間の血の味。欲求。衝動。
色んな事を知るたびに、自分がいつか人間を襲うバケモノに化しそうで怖かった。