...Melting Love...―愛檻―
◇狙われた血



これ以上傍にいたら、いずれ私は二楷堂に気持ちを打ち明けてしまうかもしれない。
二楷堂への気持ちが強まるにつれて、そんな危機感が大きくなった。

美音は先週部屋に来たっきり姿を現さないけれど、二楷堂の事を今も怪しく思っているままだ。
だから、私が素直に自分の気持ちを白状するなんて許されない。

恋人になんてなったら、美音は二楷堂に何をするか分からないし、もしも美音が二楷堂に近づいて王子だと気づかれたら協会に報告されてしまう。

二楷堂が今どんな場所で暮らしているのかは分からないけれど、自由に行動できる二楷堂が今も協会にコンタクトをとらないのには、きっと理由があるハズだ。

タイミングを計っているのか、これから先もずっと言わないつもりなのかは分からないけれど。
どちらにしても私の事がきっかけとなって協会に二楷堂の存在がバレてしまうのはマズイから。

だから……なるべく離れるのがいいと思った。

『亜姫、これからはなるべく一緒に行動しよう』
そう言っていた二楷堂との約束を破る事には胸が痛んだけれど仕方ない。







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