...Melting Love...―愛檻―


大学内で二楷堂に話しかけてくる女の子は前に比べたら減ったけれど、それでも毎日誰かしらに話しかけられている。

今日も帰ろうとしているところを学年の違う子に引き留められていたから、トイレだと告げてそのまま大学を抜け出した。

今更かもしれないけれど、一緒にいるところを美音に見られるとマズイから。

先週部屋に来た時、美音は少しおかしかった。
二楷堂の事をかなり意識していたせいかもしれないけれど……不安定に見えた。

だからこそ、今美音の気を逆なでするような行動は控えるべきだ。

だけどそれを言ったからって二楷堂が大人しく私の言う事を聞くとも思えないから、仕方なく強行に出た。

いつも通りの道を使うと追いつかれる可能性があるから、いつもとは違う道を選んで帰る。

大通りから二本道をずらしただけで、だいぶ細い通りになっていた。
車一台が通れるくらいの道幅しかなく、人通りもない。
住宅街でお店もないから、この辺の家の人しか使わないような道なのかもしれない。



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