...Melting Love...―愛檻―
◇下される甘い命令
電車に乗って部屋につくまで、二楷堂は当たり前のようについてきて、私がカギを開けると部屋の中まで入ってきた。
無言のところを見る限り、怒っているのかもしれない。
私がとったのは勝手な行動だし、第一二楷堂を騙すつもりで嘘をついた。
その結果がこれだ。怒られても仕方ない。
ヴァンパイア特有の治癒能力で顔の傷はもうほとんど治りかけているけれど、大事なのはそこじゃないハズ。
私の取った行動自体が問題なのだから。
冷蔵庫に入っているウーロン茶を出してコップにつぐ。
それをふたつテーブルに置いてからベッドに座る。そして、テーブルの横に座っている二楷堂を見た。
「さっきの事、ごめんなさい……」
謝ると、二楷堂の瞳が私を捕える。
そこにはもう、さっきの怖さはなかった。
「さっきって、嘘ついて俺の前から消えた事? それともあんな狂ったヴァンパイアに血を吸わせようとした事?」
「……両方」